19.生
生生生生生生生生生生生生生生生生生生生生生生生生生生生生生生生生生生生生生生生生生生生生生生生生生生生生生生生生生生生生生生生生生生生生生生生生生生生生生生生生生生生生生生生生生生生生生生生生生生生生生生生生生生生生生生生生生生生生生生生生生生生生生生生生生生生生生生生生生生生生生生(筆者注:これは無限に近い可能性を秘めた文学作品である)
「生」という漢字には無数の読み方がある。
通常でも二十弱、地名を含めれば二百以上の読みが存在するとも言われる。以下、筆者が蒐集した五十一種類を五十音順に列挙する。(地名は二字下げにする)
生きる…い
生む…う
生れる…うま
生い茂る…お
生涯…しょう
誕生…じょう
生命…せい
生る…な
生…なま
生え抜き…は
芽生え…ば
苔
これだけ多彩な読みがあるということは、「生」この一文字をズラズラ並べるだけでも一つの作品になってしまうのではないか。しかもそれは読み手が想像で読み方を補う、インタラクティヴなテキストになるのではあるまいか。だとしたらこれは大発明である。
そこで冒頭の「生」百四十四字に立ち返る。これに改行と句読点を読者が任意で加えれば、それこそ無限に近いヴァリエーションの文学作品の生成が可能なのではあるまいか。たとえば筆者なら以下のように構成して暴行事件沙汰を演出する。
「生生生生生生生生生生生生生生生生
生生生生生生
生生生生生生
生生
生生生生生。生
生生生生生
生生生生生
生生生生生生生生生、生生生生生生生生生生生生生生生。生生生生生
生生
生。生生生生
生生生。生生生生生生。生生生生
生生生
生生生
生
生生生生生。生生生。生。生生
生生生
生生生生生生生生生生生
生生生生生
生生。生。生生生生生生生生生」
読みは以下の通り。
「お嬢さん生ハムのうまい涼しい喫茶行きうましょう
お布施ないの。失せな
生意気言うな
うるせい
行けばよいのさ。おい
はなせブサイケ
はなさない
鼻息の勢い良いおいさん、化粧おばさま言いなりのお馬さん成りいけば。嘶きな
ばきっ
う。いきなり鼻
泣けば。いい気なお嬢さん。せいぜいあがけ
ううう
伏せな
はい
お稲荷愛撫せい。むむむ。よい。良いのう
むさい
おやおやバナナ飲むのうまいな
愛情ないさ
よいよい。さ。正常位騎乗位勝負せい」